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インサイド・トラップ(03) [小説]

今日見た映画、楽しかったです。
「天使と悪魔」・「GOEMON」
映画とか観たあと、どういう訳か、書きたくなるんですよねぇ
不思議だぁ
でも、まだ1・2ページ位の量です。もうちょっとがんばろっと









インサイド・トラップ(03)



授業が始まっても、やっぱり和田の姿はなかった。
和田の席、って言っても、そこは元のルミの席なのだが....
あれっ? 憧れのひとを平気で呼び捨てにしている。まっ、現状では幼なじみは、和田ではなくって、ルミという事になっているから、しょうがないと言えばしょうがないのだろうけど.....
出欠にも、和田の名前が出てこない。
やっぱり、あっちへ行ってしまったんだろうか。
ガタン
静かになっていた教室に、俺が椅子から立ち上がった時の音が響き渡る。
「んっ、どうした?」
草野(教師)が迷惑そうな顔をして、俺の目を覗き込む。
「あっ..... ちょっと.... 頭が.....」
そのまま、ふらふらと後のドアに向かう。
「保健室か?」
草野の声が、俺の背中を追いかけてきた。
「え....え」
消え入るような声をわざと使って、そのままドアから廊下へ出た。
保健室って、小中学校の頃はよく使っていたが、高校になってからはほとんど来たことがなかった。保険の先生の顔も始めて見た気がする。ちょっと暖かい雰囲気が、イライラを少しだけ落ち着けてくれた。
「ちょっと、頭が痛くって.....」
あぁ、母親ってこんな感じなのかなぁ?
保険の先生は、雰囲気だけではなくて声まで暖かかった。2言3言の会話だったが、結構落ち着いてきた。
「どうするの?」
さすが保険の先生だ。クエッションマークも優しく心に響いてくる。
そうそう、その言葉を待っていたんですよ。
「風邪かもしれないから、家に帰って寝ます」
危うくニヤリとするところを堪え、俯き加減で答える。
「そうね。じゃ、これを持って行って」
渡された紙を握り締めて、教室に向かった。


「ただいま」
「お帰りなさいませ」
お手伝いのふみ子さんが、出迎えてくれた。
お手伝いさんと言えば聞こえがいいが、実際には俺のお目付け役だ。ばーちゃんがいなくなった今、身寄りのいない俺にはふみ子さんの存在が必要不可欠だった。彼女がいてくれるおかけで、施設に入らなくってすむからだ。
俺の部屋は一番奥なのだがそこへは行かず、ばーちゃんの部屋に入った。
その部屋には、未だにばーちゃんの気配が消えていない。まるで、いまさっきまで、ここでお茶を飲んでいたように感じられる。
部屋の隅に置かれた小さな引き出し。桐の小さな小さなチェスト(本当の呼び名は知らないけど)の上から2番目の左側の引き出しを開けた。
ばーちゃんの部屋には何度か入れてもらったことはあるけれど、どこに何があるのかなんて、まったく分らなかった。それでも、その引き出しを開けたのは、俺のカンだ。
自慢じゃないけれど、俺のカンは良く当たる。
今回も例外ではなかった。
その引き出しの中に見たものは、小さいけれど丈夫そうな金色の鍵。
「んっ、なんの鍵だろう?」
チェストの鍵では無さそうだ。ゆっくりと部屋の中を見渡す。
出窓の下に置かれた香炉。本を読む道具達。炉釜などのお茶の道具。
やばい、涙腺が緩んできちまった。
最後に目が止まったのは、押入れだった。
その一番奥に、それはあった。
まるで玉手箱のような箱に、鍵穴が付いている。そこにさっきの鍵を入れて、ゆっくりとひねってみる。
カチリ
手ごたえと小さな音がして、鍵が開く。
「あっ、」
そこから出てきたものは....
数珠と、鈴のようなものだった。
ばーちゃんが生前、大切にしていたもので、肌身離さず持っていたものだ。
しかし、ばーちゃんが亡くなる直前に、見かけなくなっていたものだ。葬式の時も、誰も見ていなかった。お通夜の時に、ふと話題になったが、それを預かった者は誰もいなかった。
「こんなところにあったんだ」
ばーちゃんの周りでは不思議な出来事が良く起こる。もっとも巫女さんだったから、不思議な出来事は付き物かもしれない。
数珠と鈴のような物がなくなった時、既にばーちゃんは動ける状態じゃなかった。あの状態で病院を抜け出して、押入れのこんな奥に仕舞い込むなんて、とうてい可能な状態じゃない。
それに、この箱、随分と長い間、開けられた形跡がなかった。
数珠と鈴のような物を持って、
さっきから、鈴のような物って言っているけど、実はこれ、鈴じゃないよなぁ。
普通、鈴って、振れば音がなる。
でも、これは音なんてならない。なんせ、中に玉のような物が入っていなくって、空だからだ。
なんとなく物足りない気分でばーちゃんの部屋から出ようとした。
チリン
鈴が鳴ったような気がして振り返る。
「んっ?」
目に止まったものは、部屋の隅で剥がれかけた御札。
それに引き付けられて、思わず手にとってしまった。
その御札に書かれた文字は、
「...... 架け橋 .....」
最初と最後の文字は、かすんでしまっていて判読不可能。
でも、この文字は、たしか....
ルーン文字って言ったっけか?
こんな不思議な文字が読めるのも、実はばーちゃんのおかげ。小さい頃に、ばーちゃんに教わったからだ。
真ん中が架け橋とすると、前後の文字は場所なのだろうか?
この御札に呼ばれた気がするのだが......
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泉★こなた

おう、なかなか進んでますねー。
まだまだ謎な部分が多いお話のようですが、先がすごく気になります♪
頑張ってください^^*

この前の、「社会人になるとやりたいこと色々できる」とかいうコメントをいただいたじゃないですか。
あれってもしや、社会人になってからのがやりたいことが少なくなるかな?
と思ったのですが、これから解明できますかねぇ…。
by 泉★こなた (2009-05-29 22:32) 

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